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project: 代官山の家

​year:2025

60代ご夫婦と猫のお住まい。

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代官山の街の一角にある、46㎡のマンション改修工事。
もともとのお住まいは、無垢材の建具や、浴室・洗面・トイレを天然石で
一続きに仕上げた在来浴室など、とても贅沢な仕上げが施されていたが、
だんだんと時間を重ねることで、その美しさは少しずつ暮らしとのずれを
生じてしまっていた。

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経年した水廻りは漏水のリスクを抱え、閉ざされたキッチンは二人で料理するには狭く、

45度に振れた間取りでは、一番光が差し込む窓際が収納に占められていた。

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整然と暮らせる一方で、空間は細かく分かれ、人の気配や行為が繋がりにくい。
60代を迎えたご夫婦と猫が、これからの時間を心地よく過ごしていくために、
あえて既存の美しさを残すことではなく、その精神を受け継ぎながら住まいを
再構成することから計画が始まった。

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この住まいの中心にあるのは「料理と人」

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沖永良部島出身のご夫婦にとって、料理は単なる家事ではなく、人を迎えて、食卓を囲み、
手を動かしながら時間を分かち合うための行為なのだということが打合せを通じて分かってくる。

近くで営まれているセレクトショップでは、やってくる人たちに手作りの焼き菓子を、
スタッフには手作りのお昼を振る舞われ、改修工事のチームにも、打合せの1回目から
完成に至るまで、毎度かかさずにおもてなしを頂いた。その人柄とふるまいそのものを、
住まいの中心に据えられないかと考える。

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閉ざされていたキッチンの壁を取り払い、キッチン、ダイニング、ソファが互いの気配を
感じられる距離に置いた。料理をする人と、食卓を囲む人が分かれるのではなく、同じ
時間を共有できる、境界の曖昧な場所になる。

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打合せの中頃に、ご夫婦にお仏壇収納をつくってくれないかと頼まる。
お引受けはしたものの、一体どこに置くのが良いものか、どんな形が良いのか...
途方に暮れていたところ、
「毎日それぞれにお父さん、お母さんに手を合わせてお供えしたりってとってもいいですよ」
そう言われ、この住まいの中での「お仏壇」のイメージでが固まってくる。

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配置は家のほぼ中心にしようという事になった。

リビングやキッチンから自然に目に入る位置にすることで、毎日の生活の中で、過去に

生きていた身近な人を偲ぶという行為が、特別なことでなく、暮らしの延長線上にあるということ。

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そして、思い返すとその延長線上に約1年間打合せをして、共有した時間があるように思う。
関係のないようで、意味のない様で、でも確かに大切な何かが暮らしの形になるのなら
それが目指すところかもしれない

photo by Yumi Saito

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