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project: ふたりの家

​year:2022

母と息子、ふたり暮らしのための住まい。

しばらく別々に暮らしていたおふたりが、お母さんの足の不調をきっかけに、

息子さんの賃貸マンションで同居を始められた。空き家となっていたお母さんの住まいを、

これからの暮らしの場として整えられないか。そう考えられた息子さんから、ご連絡をいただいた。

最初に電話をいただいたのは、他社でリノベーションの計画を進められている最中のことだった。
提案されているプランには魅力を感じているものの、意思疎通に難しさを感じているというご相談だった。
その時は、なんとか軌道修正できないかという話をするにとどまった。

それから一年以上が経ち、あらためてご連絡をいただき、
「一緒に進めてみましょうか」そうして少しずつ、この計画は前に進みはじめた。

46㎡という限られた空間に、大人二人が暮らす。
親子とはいえ、年齢も、生活のリズムも、価値観も異なる。
距離が近いからこそ、小さな摩擦だって生まれる。
それでも、この広さの中で共に暮らすことを選ばれている。

改めて考えてみると、その二人の間の垣根を低くしているのは、食に対するこだわりなのかもしれない。
美味しいものを自宅でつくって食べる。お酒も一緒に飲むし、湧き水を汲みに遠くまで出かけたり、
家で炭を起こしたりもする。

「つくりながら食べる」ことが、この家の中心にある。

キッチンの位置については、何度も何度も話し合いを重ねて、最終的には、目の前に緑が広がる、家の中

でも特に気持ちのよい窓辺にシンクを据えている。そしてそのまわりに、それぞれがくつろぐ場所を点在

させている。

お母さんの寝る場所からは、トイレや洗面へ扉ひとつで行き来できるように。
その一方で、それぞれがくつろぐ場所からは、お互いの姿が直接見えないような配置に。

毎日一緒に過ごしていれば、お互いにうんざりする瞬間だってもちろんある。
近づいたり少し離れたりしながら、その時々に心地よい距離を探していく。

46㎡という小さな空間の中に、ふたりが無理なく、そして少し楽しく暮らしていける居場所を考える。
 

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