project: 桜のみえるの家
year:2025
共働きのご夫婦とお子さん、3人のご家族が暮らす140㎡のマンションの改修工事
最初にお問い合わせをいただいたのは2022年。
そこから完成まで3年という長い時間をかけて、この住まいの改修を進めた。
工事は、暮らしながら行うことになった。
住まい全体を大きく3つの区画に分け、一つの工事が終わるたびに、次の区画へ家具や持ち物、
そして寝る場所まで移動する。工事と工事の間には、室内に仮囲いならぬ「仮の壁」が設置
されることもあった。朝から職人が出入りし、電動工具の音が響き、ホコリが舞う日常。
家にいるのに、家ではないような時間を過ごしていただくことになる。
そしてもちろん、その3年の月日の間もご家族の生活は続いていた。
お会いした当初は、まだ幼稚園生だった愛娘のまおちゃん。これから小学生になるにあたり、
そろそろ部屋を整えたいという要望からスタートした計画は、お父さんの期待を大いに裏切り、
3年という時間をかけて完成に至った。
工事の途中、友達を家に呼んだ彼女が、「お化け屋敷みたいだね」と言われていたことを
教えてもらったのは、工事が終わってからだ。
また完成の頃、「おうちさん」宛てに手紙も頂いた。私が家に纏わる仕事をしているから
「おうちさん」という名前がついているのだと思ってお手紙を頂いたのだ。
平日は仕事を終えてから子どものお迎えに行き、休日はなるべく他の予定を入れないように
工夫しながら、限られた時間の中で打合せを重ねていく。その時間を約3年間、ご家族の
暮らしの中に確保していただいてきた。
家をつくるということは、完成した空間だけをつくることではなく、その過程も含めて、
家族の時間に関わることなのかもしれない。そんなことを考えながら、一緒に住まいの
あり方を考えていけたとても貴重な時間だったように思う。
構造上、大きな間取りの変更が難しかったとはいえ、1つの壁が取り払われただけで、
どーんと大きなリビング空間が姿を現した。4月には目の前の桜の木が窓いっぱいに
満開になり、まさに桜を眺めるための部屋のようになった。
窓辺には腰掛けを設えて、窓の外の木々が季節とともに変化していく様子を眺めたり、
それぞれの居場所の一つとして使えるようにした。
それから、その広い一角に「家族の書斎」ともいえるスペースを計画した。
幅3m近く、天地いっぱいの高さの本棚と、約4mにもなる長い壁付けデスクを造作する。
久しぶりに訪ねると、その長いデスクの上には、日々のゴチャゴチャ・奮闘が積み重なっていた。
お父さんの上着、お母さんのもの、カバン、パソコン、おもちゃ、写真、賞状、スケッチ、学校のもの。
椅子も3つ、バラバラに置かれている。
そんな様子を眺めながら、いつまでも片付かないでほしいと願いつつ、満開の桜を横目に見た。
photo by Yumi Saito

























