project: 八事の家
year:2023
ご夫婦と二人のお子さんのためのお住まい。
ご相談をいただいたのは、二人目のお子様が生まれる直前。
上の子もまだ小さく、まさに子育ての真っ只中にあるご家族だった。
東京と名古屋という距離がありながら、オンラインでの打合せを積極的に取り入れてくださり、
出産直後の慌ただしい時期にも、ご夫婦と一緒に住まいについて考える時間を重ねることができた。
打合せの間で印象に残っているのが、いつも子どもたちがとても自由に過ごしていたことだった。
大人が話をしている傍らで、公文をしていたり、本を読んでいたり、はいはいしていたり……と
思い思いに遊んでいる。それでも、打合せが途切れることはなく、子どもも大人も、それぞれの
時間を過ごしながら、同じ場所にいる。
子どもにやりたいことをさせながら、必要以上に干渉しない。
けれど、決して放っているわけでもない。
そんなご家族の姿からなのか、「子どもが自由に過ごす」ことをひとつの軸に、暮らしの機能と
空間のあり方を考えていき、長方形の空間の中央を通っていた既存の動線を大きく見直して、
家の中を回遊できるような案で方向が定まった。
キッチンに立ちながら、洗濯をしたり、お風呂に入っている子どもの気配を感じる。
一方で、玄関からはそのままリビングや寝室へ向かうことができ、家事をしながら家族の様子を
感じられることと、それぞれが自分の場所へ自由に動けること。その二つが自然に共存するよう、
家の中の動きを組み立ててく。
もう一つ要望としていただいたのが、大人と子どもの本棚をつくること。
大人の本と子どもの本を分けるのではなく、あえて一緒に並べるために、壁に埋め込んだ本棚は、
子どもが自分で手を伸ばせる高さに計画した。これは、ご夫妻自身の幼い頃の体験から生まれた
もので、大人のものと子どものものをきっちり分けるのではなく、同じ場所にあるものに自然と
触れながら、自分の興味を見つけていくという意図からで、その考え方は、打合せのときに見て
いた子どもたちの姿とも重なっていた。
家族が一緒にいるけれど、いつも同じことをする必要はない。
それぞれが好きなことをしながら、気配だけは繋がっている。
そんなご家族の暮らし方が、子どもたちが大きくなった時にも、
それぞれの時間を大切にしながら、家族の気配をゆるやかにつないでいく。
その未来を楽しく膨らませながら、この住まいについて考えた。
photo by miyuki kaneko
nakasa&partners




















